
今は菜食家の元料理人、カーリーです。
レストランへ行ったとき、メニューにいきなり「アミューズ」と書かれても、ぶっちゃけ訳わからないですよね。
とはいえ、せっかくレストランへ行くのだから、基本的な用語やマナーを押さえておきたいという人も多いはずです。
ということで、今回はフレンチの準備運動でもある「アミューズ」について説明します。
基本的な情報や実践的なマナーを盛り込んだので、フレンチレストランで大一番をキメたい人はぜひ最後まで読んでおいてくださいね🌟
フランス料理のアミューズは「お通し」「つきだし」です

フランス料理店でよく目にする「アミューズ」を日本語に訳すなら…
- お通し
- つきだし
- おつまみ
- アペタイザー
こんな感じでしょうか。
ぶっちゃけこれらに大きな違いはなく、コース料理がはじまる前の「準備運動」という意味では、ほとんど同じです。
アミューズ・グールやアミューズ・ブーシュと呼ばれることもあります。
いずれも「口を楽しませる」という意味です。
コース料理の場合はアミューズ代も料金に含まれており、アラカルトのお店だとチャージ代として請求されます。
アミューズが提供される意味
アミューズのおもな役割は、お客さんの食欲を掻き立てたり、料理への期待をふくらませたりすることです。
本番前とはいえ、お客さんが最初に目にする料理ですから、見た目も味もしっかりしたものを提供しなければなりません。
一発目のアミューズが微妙だったら、お客さんのテンションはガタ落ちですからね。
香りが立つものや酸味が効いたもので味付けすることも多く、味にメリハリを持たせて期待感を高めます。
酸味には胃酸を出させる効果もあるので、食欲を掻き立てるにはもってこいです。
「楽しませる」の意味の通り、アミューズにはおもてなしの心が詰まっています。
アミューズは日本料理の影響を受けて誕生した新しい文化
アミューズはフランス料理の文化ですが、日本料理の影響を大きく受けています。
1970年代の頃、フランス料理界には「ヌーベル・キュイジーヌ」といって、これまでのフランス料理よりも軽く、繊細な料理を推す流れがありました。
あのポール・ボキューズ氏は、ヌーベル・キュイジーヌを代表する料理人です。
で、ヌーベル・キュイジーヌの流れの最中、日本料理の先付けを見たフランス人料理人が新しい取り組みとして「アミューズ」を提供しはじめました。
フランス料理の歴史は長いですが、アミューズはごく最近の文化です。
【フランス料理】アミューズとオードブルの違い

アミューズは、お通しやつきだし、先付け。
オードブルは前菜です。
具体的には、ボリュームが違いますね。
アミューズはほんのひと口ほどのカナッペやピンチョス、スープ、タルトレットなどが提供されることが多いです。
プレートや容器にこだわるシェフも多く、見た目も楽しめるのがいいですね。
【フランス料理】アミューズの食べ方【基本マナー】

マナーといっても基本的には、出されたものをそのまま食べれば問題ありません。
まずはじめに食前酒をオーダーし、お酒を飲みながら料理を決めますよね。
日本では、料理をオーダーしてからアミューズが出てきます。
フランスだと食前酒を飲みつつアミューズを食べ、料理を決めることが多いです。
料理を注文してアミューズが運ばれてきたら、ナフキンを膝にかけます。
あまり気にする必要はありませんが、フランス料理ではナフキンをとるのが早すぎると「料理はまだか」のサインになってしまうので、頭のすみに入れておいてもいいかも。
料理が運ばれてきたタイミングでナフキンをとっても、全く失礼ではありませんよ。
アミューズは手でつまんだりスプーンのまま口に運んだり、グラスに入っているものをスプーンで食べたり、食べやすい食べ方でどうぞ😉
アミューズを食べるときは、基本的に左右に置いてあるナイフやフォークは使いません。
アミューズ専用のカトラリーが提供されるか、手で食べるかが一般的ですね。
フォークレストが置いてある場合は「コース全体をそのカトラリーひと組で済ませてね」という意味です。
最近はこういうお店が増えてきましたね。
その場合は、アミューズにナイフとフォークを使っても問題ありません。
というか、間違ったカトラリーを使っても、店員さんがさりげなく新しいものを補充するのが普通なので、マナーに囚われずに食事を楽しんでほしいです。
アミューズは「着火剤」楽しむのがお客さんの仕事

今回はフランス料理の【アミューズの意味や食べ方】について紹介しました。
フランス料理はとくに、マナーが気になるジャンルだと思います。
しかし、日本でフランス料理を食べる場合、マナーはそこまで重要ではありません。
最近はカジュアルなお店が増えており、従来のような「ナイフとフォークは外側から」なんてお店のほうが珍しいです。
まあ確かに、マナーを身に着けておいた方が見栄えもするし、周りからの高感度も上がります。
デートなんかはとくにそうですよね。
でも、レストランにおけるお客さんの仕事は、その時間に没頭して楽しむことです。
お客さんの期待や食欲、思い出に火をつけるのはプロの仕事なので、特別な時間をたっぷりと堪能してください。