元フレンチ料理人のcarlyです。
海外では当たり前。
最近では日本でも耳にする機会が増えたベジタリアンやヴィーガン。
「肉を食べない人」ということは分かっても、それ以外のハッキリとした違いってよくわからないですよね。
日本に来る外国人は増え続けることですし、はじめて出会う人に
- わたしヴィーガンなので
- ベジタリアンです
と言われたときに違いがわからないとトラブルになりかねません。
ということで今回は、元肉好きフレンチ料理人の筆者がベジタリアンとヴィーガンの違いについて詳しく解説します。
こちらの記事を読めば、ベジタリアンやヴィーガンの人が食べられない食材が分かるので、かれらと一緒に食事に行くときでも大丈夫。
こういう人たちがいるんだ!という発見をしてもらえたらうれしいです。
それでは、さっそく見ていきましょう。
ベジタリアンとヴィーガンの表面的な定義

ベジタリアンとヴィーガンをひと言で表すと「菜食主義者」といいます。
突き詰めていくと色々な見方や定義がありますが、サラッと表現するのであればベジタリアンとヴィーガンに共通するのは肉を食べないということ。
そして、菜食に関心がない人たちの多くは
- ベジタリアンは気軽な感じ
- ヴィーガンはとにかく厳しい感じ
というざっくりしたイメージを持っています。
まずは、ベジタリアンとヴィーガンの違いについて詳しくみていきましょう。
ベジタリアンは肉や魚を食べない菜食主義
ベジタリアンは菜食主義といわれるように、肉と魚は食べず野菜中心の生活です。
もっと細かくいえば、食べるものと食べないものによっていくつかの種類にわかれます。
例えば、ラクト・オボ・ベジタリアン。
- ラクトは乳製品
- オボは卵
のことで、野菜にくわえて卵と乳製品をとる人たちのことです。
ここから派生して、ラクト・ベジタリアンやオボ・ベジタリアンという人も。
また、植物性食品にくわえて魚を食べる人はペスクタリアンと呼びます。
日本ベジタリアン協会よれば、ペスクタリアンは乳製品と卵も食べるようです。
もう少しカジュアルな感じだと、
- ノン・ミート・イーター:動物の肉は食べず、脂などはOK
- フレキシタリアン:基本的には菜食だが、状況によって肉を食べる
という人たちがいますね。
ベジタリアンにはまだまだたくさんの種類があるのですが、今日はここまで。
ヴィーガンは動物性のものを食べない・身につけない
健康のためにベジタリアンになったという人は多いですが、ヴィーガンの場合はもっとマインドを追求した人たちが多い印象です。
もちろん、中には健康面を重視するヴィーガンもおり、その人たちは「ダイエタリー・ヴィーガン」と呼ばれます。
ヴィーガンは食肉はもちろん
- 骨
- 皮
- 脂
- 牛乳(乳製品)
- 卵
- 魚
- はちみつ
といった動物性のものは一切食べません。
ちょっと意外でしたが、はちみつも動物性食品に分類されるとのこと。
- アガベシロップ
- メープルシロップ
などの甘味料で代用できます。
ちなみに、厳しいヴィーガンは白砂糖もNGです。
というもの、白砂糖を精製する際に「骨炭」という動物の骨が使われているから。
上記のような樹液や、生成されていない黒砂糖やココナッツシュガー、きび砂糖を使います。
したがって、厳しいヴィーガンたちは
- 皮のカバン
- 革靴
- ダウンジャケット
- ウール
- 毛皮製品
なども持たないのです。
そのため、ヴィーガンはただ自分の健康を考えるという欲だけでなく、動物の命を大切に想うというマインド的なイメージが強くなりますね。
このような人たちを「エシカル・ヴィーガン」と呼びます。
ベジタリアンやヴィーガンになる4つの理由

正直なところ日本ではとくに、なぜベジタリアンやヴィーガンになる必要があるの?と疑問に思う人がほとんどなのではないでしょうか。
学校給食には当たり前に肉も魚も出ましたし、ベジタリアンまたはヴィーガンの人は?と聞かれたことなど人生で一度もありません。
では、人々はなぜベジタリアンやヴィーガンになるのか。
その理由は大きく分けて4つあります。
- 宗教上の理由から
- 動物の命を食べるなんてトンデモナイ
- 地球環境を守るため
- 健康にいい食生活を目指す
健康を目的に肉を食べないという人もいるし、動物や地球を守りたいという考えからヴィーガンになる人までさまざま。
それぞれについて、もう少し深く掘り下げていきましょう。
①宗教上の理由
義務教育で習った通り、世界にはある特定の飲食物を禁じる宗教がいくつかあります。
- イスラム教
- ヒンドゥー教
- ユダヤ教
などがこれにあたり、食肉のほかコーヒーやお酒などの嗜好品を禁じる宗教も。
ロンドンに住んでいると「ハラール」というものをよく見かけるのですが、これはイスラムのルールに則って屠殺(とさつ)された牛肉や鶏肉のことです。
ハラールに関しては、ハラル・ジャパン協会のホームページを参考にどうぞ。
ちなみに、ハラールのユダヤ教バージョンといえるのが「コーシャ」です。
日本では仏教や神道からしても、現代では特別に禁じられた食べ物はありません。
それってすごく恵まれているというか、それぞれが食べ物を選ぶ権利を自由に与えられていることに感謝しなければならないなと。
ハラールやコーシャのように、ある宗教を信仰している人でも食べられるように加工されたものもありますが、宗教上の理由からベジタリアンやヴィーガンになる人は多いです。
②動物の命を食べるなんてトンデモナイ
精肉店やスーパーで当たり前のように売られている
- 牛肉
- 鶏肉
- 豚肉
がどのようにして店頭に並ぶかを知っていますか?
なんとなくはイメージできるかと思いますが、その現実は想像以上に残酷です。
- 家畜の飼育環境の劣悪さ
- 動物をモノのように扱う
- 非人道的な動物の扱い
などをリアルに訴えた書籍や映画はたくさんありますし、YouTubeでもたくさんの情報が流れています。
それはまさに目を覆いたくなる現実で。
ノドを切り裂かれて血溜まりに横たわりながら目を開き、口をパクパクさせながら毛皮を剥がれていく仔牛。
↓このような事実をやさしめに知りたい方には、この本がおすすめです!
基本的に動物が好きなわたしはこの現状を知ったとき
- 人間ってこんなひどいことをするんだ
- 自分がのんきに生きている間に、苦しみながらモノのように扱われて死んでいく動物がごまんといるんだ
とショックを受けました。
料理人時代には、フォアグラは「ガヴァージュ」という人工的に太らせる方法で生産されると習ったのですが、これも笑い事なんかではないと知ったのです。
ふつうに考えて、ノドにホースを突っ込まれて食べ物を流し込まれ続けるなんてありえないですよね。
このような悲惨な食肉現場を目の当たりにし、肉を食べる量を減らして動物の命を少しでも助けようと行動するベジタリアンやヴィーガンも多いです。
③地球環境を守るため
わたしたちが食べている食肉を飼育するには、とてつもない量の資源が消費されます。
世の中には満足に飲水をキープできない人たちがたくさんいる傍ら、肉を店頭に並べるために大量の水が湯水のごとく使われているのです。
更には
- 施設の洗浄や消毒に使われる化学薬品
- 家畜の糞尿
などによって大地は汚染され続けています。
知っている人は多いと思いますが、牛が有毒ガス「メタン」を排出していることも問題です。
牛の数が増えればそれだけメタンガスの排出量も増えるので、地球温暖化を深刻化させる原因になってしまいますよね。
さらに、失われた熱帯雨林の多くは家畜産業のために消えていったという背景も。
このような地球環境へのダメージは決して牛が悪いのではなく、消費のためだけに大量に牛を増やした人間に責任があります。
肉の消費を減らせば資源の消費も減らせる。
単純なようで簡単ではないですが、一人一人が行動することで変えられる現実です。
これ以上、自分が住む地球の環境を壊さないために行動するヴィーガンやベジタリアンもたくさんいます。
④健康上の理由から
さまざまな研究により、肉を食べると病気になるリスクが高まることが分かっています。
現代人を悩ませている
- 脳卒中
- ガン
- 心筋梗塞
- 糖尿病
などの生活習慣病は、肉を食べる人の方が発症リスクが高まるのです。
というのも、動物性の食品には「飽和脂肪酸」というものが多く含まれており、これが多くの現代病の原因になっています。
病気がイメージしにくいようであれば、もっと身近な例をあげてみましょう。
例えば、食べた肉は腸の中で腐りやすく、悪玉菌が増えるなど腸内環境を悪化させます。
そのため、
- 消化不良
- 便秘
- 肌荒れ
- 疲れやすい
など、ちょっとした体調不良を引き起こす原因にも。
実際にわたしは肉を食べなくなってから、便秘が和らいだりニキビができにくくなったり、体が軽くなったりしたと感じています。
疲れがとれにくいとか胃がもたれやすいとか、年齢を重ねれば誰にでも起こることかもしれません。
しかし、その不調が実は肉食が原因だった!なんてことがあり得るのです。
日本では正しい認知がされていない「菜食主義」の世界

人によって菜食主義になった理由は様々です。
肉を食べることが地球環境や動物にどんなダメージを与えるのかを知っても、行動を起こさない人もいます。
わたしは、それはそれでいいと思います。
タバコやお酒と同じでそれをやるかやらないかは本人次第なので、
- ヴィーガンやベジタリアンでない人を否定したり
- ベジタリアンやビーガンになろう!!!とまくしたてたり
するのは間違っているのではないでしょうか。
そういったものに関心があって行動する人であれば、誰かに言われなくても自然とその情報にたどり着きますからね。
このようなことから、ヴィーガンやベジタリアンには過激な一面もあります。
そのせいか、ベジタリアンやヴィーガンは触れてはいけない話題というか、あまり関わらない方がいいというイメージがついているのではないかと。
思いが強いからこそ過激になるのは理解できます。
しかし、そのせいで間違ったイメージが定着してしまい、日本ではなかなか菜食主義というものが正しく広まらないのはもったいないし、とても残念。
これが現段階の問題なのではないでしょうか。
わたしは誰かのキッカケになれればいいなと思って、これからも菜食主義について研究していくつもりです。
ヴィーガンの食事が気になる人にはこちらの本がおすすめ!
こちらの本はとにかくお洒落なのでフォトブックとして楽しめますし、レシピがとても参考になります。
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