料理人になるには専門学校へ行く?メリットとデメリットを元料理人が解説

元フレンチ料理人として働いていたライターが、料理人になるには専門学校に通うべきかどうかについて話します。

元フレンチ料理人のcarlyです。

料理人になりたい!という人は多いですが、そのときに必ずといっていいほど悩むのが「専門学校に行くべきかどうか」ですよね。

今は高校を卒業したら、大学なり短大なり進学するのが主流。

「料理は専門性がある分野だからこそ学校に行くべきでは?」と思うかもしれませんね。

ということで今回は、

  • 高校卒業後に専門学校へ行くべきかどうか
  • 専門へ行った場合と行かない場合のメリットとデメリット

について、わたしの体験談も交えながら解説していきます。

「これから料理人になりたい!」「学校はどうするべき?」と悩んでいるあなたの参考になれば!

料理人を目指すなら専門学校へ行くべき?

わたしは中学生の頃にパティシエを目指しはじめ、高校卒業とともに専門学校の調理コースに進学しました。

  • はじめて自分で自分の進むべき道を選んだ
  • 本当に自分がやりたいことにのめり込める

という環境から、専門学校に通ってほんとうに良かったと思っています。

しかし「料理人になりたい人はみんな専門学校へ行くべきなのか?」と聞かれれば「いいえ」と答えますね。

 

一昔前は中卒や高卒で修行をはじめるのが一般的だった

例えば30年も前。

料理人に限らず、手に職をつける場合は中卒や高卒で現場に入るのが主流でした。

現役の50~60代以上の料理人の中には、専門学校に行かずに料理の仕事をはじめた人がたくさんいます。

  • 有名な料理人になれるかどうか
  • 技術が優れているかどうか
  • 料理がうまいかどうか

という部分には「専門学校に行ったかどうか」なんて一切関係ありません。

でも、いつの間にやら料理人になるには専門学校に行くのが一般的、というのが定着しています。

それは料理人に限ったことだけではなく、中卒や高卒で就職するのが一般的ではなくなったということです。

 

現在の高校生は8割以上が進学を選ぶ

こちらの進学に関する調査結果を参考にすると、高校卒業後になにかしらの進学を選ぶ人は80%以上にものぼることが分かります。

グラフを見てみると、専修学校いわゆる専門学校への進学率は大きく変わらないものの、大学への進学率がめちゃくちゃ右肩上がりまくりです。

細かなデータはないとしても、昔よりは料理人になるために専門学校へ行く人が増えたといって間違いないでしょう。

 

わたしも高校卒業したら専門学校へ行くのが当たり前だと思っていました。

それにひとつの疑いを持ったことすらありませんでしたしね。

もちろん、料理人になりたいがために専門学校へ行くことは悪いことではありません。

しかし、進学するのが当たり前だから専門学校へ行く、というのは間違っていると思います。

調理師の専門学校へ行くメリットとデメリット

専門学校をディスるつもりはありません。

実際にわたしは専門学校に行ってよかったと思っていますし、自分が学びたいことをとことん学べたことはとても幸せです。

それを踏まえた上で、専門学校へ行くメリットとデメリットを紹介します。

 

専門学校へ行くメリット

わたしが専門学校へ行ってよかったなと思うのは

  • 基礎知識やスキル、専門用語を身につけられる
  • 仲間や友達など、人脈がつくれる
  • 就職先に困らない

という大きく分けて3つのメリットがあるからです。

それぞれについて少し解説を加えていきますね。

 

メリット①基礎知識やスキル、専門用語を学べる

学校というくらいですから、専門学校では毎日

  • 料理に関する専門用語
  • 調理の基本スキル
  • 基本的な調理科学
  • 調理場での心構えやマナー
  • 調理道具の扱い方や手入れ方法
  • 食材や道具を大切に扱うための精神
  • 衛生管理に関する知識

などなど、学ぶことがありまくりです。

わたしの場合は専門が西洋料理だったので、これらに加えてフランス語やイタリア語などもかじっていました。

正直なところ、これらの知識やスキルは働きはじめてからでも十分に身につきます。

もっと言うと、職場やシェフによって

  • 基礎の活かし方
  • 考え方や理解の仕方
  • 重要視するところ

などが違うので「学校で学んだことが役に立つか?」と聞かれるとかなり疑問です。

しかし、そこでは「知っているか知っていないか」という違いがかなり大きいと感じます。

 

知っているか知らないかだけで、次にやるべきことや改善する部分を見つけるスピードは2倍も3倍も変わってくるはず。

当たり前の用語や道具名を知らないと仕事にならないことは多く、人手不足が深刻な飲食業界でうまいことやっていくには、即戦力になることが大切です。

そういった意味では、高校卒業とともに専門学校へ行くのは大きなメリットになります。

 

メリット②仲間や友達など、人脈がつくれる

わたしにとってかなり大きなウエイトを占めるのが、専門学校に通ったことで

  • 一生の友だち
  • 切磋琢磨できる仲間
  • いざとなったら頼れる先生
  • 相談できる先輩

という、料理業界で生きていくための人脈のベースをつくれました。

高校を卒業して、目指すべきものを目指して1ヶ所に集まった者同士は打ち解けるのも早かったですし、悩みを相談し合ったり励まし合ったりしてとにかく楽しかったですね。

学校で出会った友だちがいなかったら、10年も料理人を続けられたか。

苦しくて長い道を進むときは、同じ目標を持って一緒にがんばってきた人との関わりが大きな支えになります。

 

メリット③就職先に困らない

当然といえば当然ですが、専門学校にとって

  • 就職先
  • 就職率

というのは、学校そのものの評価に直結する大切な要素です。

誰でも知っているような有名レストランやホテルに就職する卒業生が多いほど、学校の評価は上がりますよね。

加えてどこでも人手不足な飲食業界ですから、専門学校にはありとあらゆる就職先の募集情報が常に集まっています。

 

在校生として就活するときはもちろん、一度社会に出てから再就職先を探すときにも、専門学校というフィルターがあるかないかでは就活のやりやすさが変わるはず。

飲食にはブラック企業が多いというウワサですが、ある程度は学校側でフィルターをかけていますし、一度にズラッと募集要項をみれるので役に立ちます。

高卒で社会のイロハがなにひとつ分かっていない状況で就活するよりも、専門で勉強しながら心の準備を整えつつ就活する方が望ましいですしね。

 

専門学校へ行くデメリット

以上ではメリットを3つ紹介したので、次は専門学校へ通うデメリットについてです。

わたしとしてはあまり大きなデメリットはなかったのですが、もし通わなかったときのデメリットを挙げるとしたら、以下の2つでしょうか。

  • 何もかもがゼロから一人
  • お金がかかる

ではこちらも、それぞれ詳しく解説を。

 

デメリット①何もかもがゼロから一人

もちろん、なにか新しいことをはじめるときは誰でもゼロからのスタートです。

赤ちゃんが歩けるようになって喋れるようになるのだって、自分で経験して繰り返して身につけていきます。

しかし、それを大人になってからやると、どうなるでしょう。

赤ちゃんや子供のように気軽に許してもらえることもなく、こうやるんだよと優しくアドバイスしてもらえるわけでもありません。

自分で練習して身につけるにしても、子供のそれと比べるとスピードは亀並み。

  • 失敗したら怒鳴られるわ
  • お店の信用が失われると脅されるわ
  • 使えないヤツだと罵声を浴びせられるわ

子供が失敗するときの何百倍もの精神的ダメージが加わります。

そんな悔しもどかしな状況に、専門学校卒の同い年や後輩がポッと現れたらどうでしょう。

 

自分の不甲斐なさに腹が立ったり悔しくなったり、同僚や後輩よりもスキルもなく無知なことに劣等感を感じたりします。

下手すれば、それをネタにいじめられる可能性もあるでしょう。

そんなときに悩みを相談したり弱音をこぼしたりできる友だちがいれば。

できるできないに関わらず、頭の片隅に最低限の知識やスキルがあれば。

 

専門学校でどれくらいの知識やスキルを学べるかも大切ですが、同じ苦しい道を一緒に歩んでいく友だちや仲間ができたことが大きいです。

なににも負けない志と目標がある人は別かもしれませんが、大抵の人はゼロから一人ですべてをうまく回していけるほど強くはありません。

そういった意味では、専門学校に通わなかったらと思うと恐ろしいですね。

 

デメリット②お金がかかる

学校や通う年数によっても変わりますが、調理の専門学校の学費は決して安くないです。

学費だけでも、1年間で150~200万円ほどかかるのが相場ではないでしょうか。

それに加えて毎月の交通費や生活費がかかりますからね。

 

わたしの周りでは学生ローンを組んで自分で払っている人もいましたが、大抵の人は親御さんに学費を出してもらうのではないでしょうか。

どちらにしても、現金でポイッと出せる金額ではないことに変わりありません。

一年間で働くのに必要な知識とスキルを身につけ、一生モノの人脈をつくるのを安いか高いかで判断するのはあなた次第ですね。

 

専門学校へ行くと就職に有利なの?

先ほどメリットとデメリットの点で少し触れましたが、専門学校と就職の関係性についてもう少し掘り下げていきます。

というのも、やはり学校に行くからには就職できるかどうかは需要ですし、親御さんとしても一番気になる部分だと思うからです。

調理の専門学校に通ったわたしの意見としては「専門に通うことが就職に有利になるかどうかは一概には言えない」のが正直なところ。

在校生であれば学校から就職に関するアドバイスやサポートを受けられるというメリットがありますし、行っておくに越したことはないと思いますけどね。

 

「専門学校=資格が取れる=就職に有利」という方程式

専門学校を目指す理由のひとつに、卒業と同時に調理師免許をとれることが挙げられます。

一般的には「資格は持っているにこしたことはない」と言われますよね。

確かに、公的ななにかやお役所などにお世話になるときにはとくに、

  • 調理師免許なり
  • 製菓衛生師なり

の資格を持っていた方が説得力が増すのはいうまでもありません。

しかし、一般的なレストランやホテルに就職するときに「調理師免許が役に立った!」と感じたことはないです。

正しく言うなら、調理師免許を持っているかどうかを問われたことは一度もありませんし、給料などが優遇されたこともありません。

中堅になってからはたくさんの新卒や中途を見てきましたが、上司が「この人は免許がないから採用しない」と言っているのは一度も見たことがないですね。

 

少なくとも、一般的なホテルやレストランに勤めるのであれば、専門学校を卒業したくらいで簡単にもらえる資格に大した意味はないということです。

「食に関する仕事」という大きなくくりで言うなら、四大を卒業しないといけない

  • 栄養士
  • 管理栄養士

の方が重宝されることは言うまでもありません。

資格を目的に調理師学校に通うのはナンセンス。

わたしは就職した後に独学で調理師免許をとりましたが、調理の現場で役に立ったことは一度もないです。

(あ、ライティングの仕事では、有資格者として記事を書いたことはあります。)

 

専門学校を卒業したというステータス

とはいえ、一部では専門学校を卒業したその人だけを採用する、という人がいるのも事実です。

具体的には、自分が通っていた専門学校の卒業生だけを採用するということ。

賄賂をもらっているとは思えませんが、自分が卒業した学校の生徒であれば卒業の時点で

  • どのくらいの知識が身についているのか
  • どのくらいの技術があるのか
  • マナーや礼儀が備わっているか

というのが具体的にわかるので、指導者としてやりやすいのでしょう。

という意味では、一部では専門学校に通った方が就職に有利になると言えます。

 

しかし、こういった例は多くはないので、ほとんどの場合では「〇〇学校卒」だからといって就職が有利になることはないでしょう。

というのも、料理人やパティシエの世界は常に人手不足で、面接を受ければその場で採用というのがほぼ当たり前の世界ですから。

 

お金があれば専門学校に通ってもいい

わたしは高校卒業とともになにも考えずに調理師の学校に進学しましたが、今じっくりと考えてみると、お金がある人だけ通えばいいのではないかというのが結論です。

学校に通うことで

  • 基本的な知識とスキルが身につく
  • 友だちや先生などの人脈が広がる
  • 一部では就職が有利になる

など、いいこともたくさんありますし、学生生活は楽しいです。

しかし「無理して高いお金をかけてまで通う価値があるか?」と聞かれると、人によるとしか答えられません。

わたしはネガティブで心配性なので、学校に通ったことで一生の仲間ができ、先生や先輩とのつながりに助けてもらえたことが大きかったです。

 

一方で、

  • 資格がほしいから
  • みんなが進学するから

という理由だけで専門学校に行くのは時間のムダであり、学費や生活費を出してくれる親御さんに失礼です。

実務経験が必要であるにしても資格は一人で勉強しても十分にとれますし、なんとなくで調理師学校に行くのはお金のムダ遣いでしかない。

しっかりとした志を持った人でも

  • 体を壊して辞めざるを得ない状況になったり
  • 心が折れて辞めていったり
  • 周りの環境に恵まれずに辞めていったり

ということがザラなので、中途半端な気持ちでは行くべきではありません。

  • お金がありあまってヒマでどうしようもない
  • 別に飲食業界で就職するつもりはない

というのであれば別ですが。

 

ということで「調理師になるためにはどうしても専門学校に行かなくてはならない!」というわけではありません。

  • お金に余裕がある人
  • 一生飲食業界で食っていく

という人だけが行けばいい。

スキルも技術も、苦労はしますが現場に入ってからでも十分に身につけられます。

周りに引け目を感じないほどに高い意気込みと目標があれば、専門学校に行っていなくても料理人としてやっていくには十分です。

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carly
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