飲食業内の転職に『紹介』をおすすめしない5つの理由【絶対NG】

そろそろ転職したいなと思ったとき、あなたはどんな方法で就職活動をしますか? 今回わたしがおはなしするのは、料理人には定番の「紹介」による転職について。

元フレンチ料理人のcarlyです。

『料理人は知り合いの紹介で転職すべきではない』というのがわたしの意見。

今回はその理由を解説していきます。

わたし自身は飲食で6回以上の転職経験があり

  • 知り合いによる紹介
  • それ以外の方法

の2種類の方法で転職しました。

色々あった結果「それ以外の方法」で転職すべきだと思っています。

まずはこの記事で、料理人がなぜ紹介で転職すべきでないのかの理由を述べます。

転職を考えている飲食業界の方に、一部にはこのような世界もあるんだということを知ってもらえればと思います。

飲食業界内の転職は「紹介NG」である5つの理由

これから紹介する話は、飲食業界の中でも一部に限った話かもしれません。

ただ、これから業界内で転職する人には、このブラックホールに吸い込まれるのだけは避けてもらいたいのでお話します。

このブラックホールに吸い込まれるということは、自分の料理人人生をすべて失うリスクがあるということです。

 

飲食業界内で転職する際に「紹介(人づて)」をおすすめしない理由は、以下の5つです。

  1. 精神的・肉体的暴力を受ける可能性、自分が加害者になる可能性がある
  2. 同じジャンルの料理人の中でウワサが広まる
  3. 料理人だけでなく、仕入れ業者にまでウワサが広がる
  4. 辞めるにやめられない
  5. 最悪の場合、その料理界のなかで就職できなくなる
[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”1carly.jpg” name=”carly”] 以上の順番で説明していくので、じっくりと読み進めてみてくださいね。[/speech_bubble]

 

①精神的・肉体的暴力に巻き込まれる

シェフをはじめとする料理人にはアニキ気質の人が多く、わたし自身料理の知識や腕前を尊敬する上司にたくさんお世話になり、プライベートでもよくしてもらった経験があります。

しかし、いい思い出だけで

  • 職場で包丁を突きつけられたり
  • 殴られたり
  • わたしの人格を出生から否定
  • 家族や友人まで「死ねばいい」「何十年も人間として生きているのが不思議だ」といわれたり

など、なにもかも否定されたことを帳消しにできるとは思いません。

 

わたしの友人や同僚などは言葉の暴力に加えて、以下のような目に見える暴行を受けていました。

  • めん棒で頭を殴られて血がにじみ、吐き気とめまいで半日動けず
  • 足を踏まれて足の甲を骨折
  • 殴られてまぶたが真っ青、眼球が真っ赤に
  • 後ろから何度も殴られ、首がヘルニアに

このような被害者がひとりやふたりではありません。

わたしが受けた被害なんて、スズメの涙にもなりません。

(ちなみに一度だけ、お客様が調理場で行われている暴力をみかねて騒ぎになり、ランチ真っ只中に警察沙汰になったことがあります。)

 

「飲食業界内の人の紹介で就職 = すべて悪」とは思いませんが、多かれ少なかれ、シェフや先輩の紹介で就職した人たちがこのような被害にあったという事実が存在することを知ってもらいたいです。

自分が直接の被害者にならなくとも、自分の横で働く同僚や後輩がこのような暴力を振るわれていたらあなたはどうしますか?

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”1carly.jpg” name=”carly”]「 シェフ、やめてください」っていえますか?[/speech_bubble]

見過ごしたら、自分も暴力をふるっているのと同じなのです。

わたしだったら、被害者としてつらい思いをしただけに「あのとき助けてくれなかったよね」といわれたらもう立ち直れません。

自分ひとりの力ではこの負の連鎖は変えられません。

逃げだといわれてもいいから一歩でも近づかないのが身のため、将来のためです。

 

②同じジャンルの料理人の中でウワサが広まる

料理人はびっくりするくらい横の人付き合いが密接です。

今、若手で活躍しているシェフの元をたどれば、けっこうな確率で同じ店で働いていたりグランシェフといわれる有名店で働いていたり、という過去があります。

  • あの店のシェフとは同期だった
  • 一緒に働いたことはないけど、何度か会ったことがある

というのはザラ。

同じジャンルの料理人はほとんどが知り合いだといっても過言ではないくらいです。

 

わたしが働いていたある店の当時のシェフは、フランス料理界の「〇〇会」というものに属していました。

それは雑誌にのっているような話題の店のシェフや、すでに人気店といわれる店のシェフまでが集まって飲み会を開くというもの。

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”1carly.jpg” name=”carly”] 今考えても、想像するだけで身震いします。[/speech_bubble]

きっとみんなで「うちの新人が気が利かない」とか「やる気がない」とか言い合うのでしょう。

このような場所では、いいウワサは話題になりませんよね。

わたしのようなしたっぱがネガティブに表現すれば、自分が知らぬ間にクソミソいわれたり「▲▲というやつは使えない」という情報を業界中に広められたりしてしまうということです。

 

③料理人だけでなく、仕入れ業者にまでウワサが広まる

はたまた、そのようなレストランに食材を卸している業者もおおよそ被ります。

  • 前に働いていた店のお得意だったとか
  • 「この食材ならこの業者に限る」

というのがだいたい決まっています。

独立するにしても、まったく知らない業者を使ったりイチから業者を探したりするのは大変ですからね。

 

さらに業者を通して

  • どの店の新人が飛んだ(辞めた)
  • あの店の✕✕がシェフと喧嘩した
  • 二番が辞めるらしい(終わりだな)

とか、誰得なのかわからない情報が飛び交うので、働く身としてはいかに痴態をさらさないようにするか必死です。

たとえシェフ同士の横のつながりがなくても、仕入れ業者を介してお店同士の情報交換が行われます。

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”1carly.jpg” name=”carly”] いつの間にか、レストランの裏情報が筒抜けに。[/speech_bubble]

業者さん自体がウワサを流すことはないにしても、シェフが仕入れ業者を介して新人の情報を仕入れようとする可能性は十分にあります。

顔が広い料理人ほど、仕入れ業者とのつながりやコミュニケーションを大事にしていますからね。

このような業界内の密接なつながりはとても良いことなのですが、悪い方に働くとものすごく厄介だということです。

 

④辞めるにやめられない

人の紹介で就職すると、その職場がいかにブラックな現場であっても辞めにくく、辞めたとしても

  • あいつはすぐ辞める
  • せっかく紹介したのに、人の顔に泥をぬった

と業界内で悪いウワサが広まります。

耐えることやとにかく続けることが美徳だという世界なので、たとえ職場が異常だとしても

  • 耐えられない方が悪い
  • これが普通だ

と理不尽にいいくるめられるのです。

こうなってしまうと、特に新人や料理の世界しか知らない人はますます辞めるにやめられない負のループに落ちてしまいます。

「人づて」は、感情に訴えることです。

理不尽さや暴力がまかり通っている職場の方が異常だと分かっていても、どこかで紹介してくれた人のことが頭によぎる。

  • 紹介してくれた人をがっかりさせたくない
  • メンツを潰すわけにはいかない

という気持ちが働いて、過酷な労働や肉体的・精神的暴力に耐えようとする。

 

せっかく転職したのに、以前とはなにも変わっていない。

それどころか状況はますます悪化している。

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”1carly.jpg” name=”carly”] そんな転職、いやですよね。[/speech_bubble]

紹介による転職は、短期的にみれば仕事を辞める前に就職先がみつかるというメリットがありますが、長期的に見るとかなり不利です。

自分の意思とは関係なく周りの要素ですべてが決まってしまうので

  • こうなりたい
  • こうしたい

という欲求があればあるほど、辛くなっていきます。

 

⑤最悪の場合、その業界の中で就職できなくなる

これまでに説明したような横のつながりがエスカレートすると、業界にふさわしくない人間は干されやすくなります。

当然といえば当然なのですが、

  • すぐに辞めたがる
  • 上司に逆らう
  • 口だけは達者なのに仕事ができない

というような人を雇いたいと思う料理人はいないでしょう。

横のつながりで流された情報が正しかろうと間違っていようと、最悪の場合はつながりがあるレストランすべてで就職を断られるリスクがあるのです。

 

実際に一部では「新人を雇うときは、前の職場のシェフに連絡をとる」という習慣が残っています。

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”1carly.jpg” name=”carly”] いい辞め方ができなかった場合はここで「なし」と判断されることも。[/speech_bubble]

そうなればどんどん就職先が限られてしまい、仕方なく大手チェーン店の調理場に行くという選択を迫られるのです。

そんなことになれば、自分が活躍したい世界で働くことすら叶わなくなります。

 

料理人が転職するなら「紹介以外」の方法で!

以上のように飲食業界の一部では、横のつながりが濃すぎて悪い方向に働くと、

  • 辞めるにやめられない
  • 肉体的・精神的暴力の被害者(加害者)になるリスク
  • 業界内で自分のよくないウワサが広まる可能性
  • 最悪、業界内に居場所がなくなる

このような危険性があります。

ほとんどの人は経験があると思いますが、極端にいうと「濃すぎる人付き合いは厄介だ」ということです。

お店の上司や先輩の紹介で転職する人すべてがこのような負のループに陥るとも限りませんが、少なくともリスクは伴います。

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”1carly.jpg” name=”carly”] ただ最近は、このような現状を変えようとする料理人が増えたことも事実です。[/speech_bubble]

つい先日も友人の勤めるホテルで暴力に関する内部告発があり、料理長からなにまで総入れ替えだという話を聞きました。

 

人という感情に訴えるものがなければ、自分にマイナスになる場所からは去ればいいだけの話。

フットワークを軽くするためにも、紹介による転職はおすすめしません。

「じゃあ料理人はどうやって転職すればいいの?」と思うのですが、やはり第三者の目が光る転職エージェントを使うのが安全です。

転職エージェントについては以下の記事で詳しく説明しています。

料理人は視野がせまくなりがちなので、業界を大きく捉えて

  • こんな条件の求人があるんだ
  • 自分の市場価値はもっと高いかもしれない

ということを知るべきです。

「知らないから」「誰もやってないから」という理由で逃げてはいけません。

あなたの料理人人生、すべての未来を守るためにも、その恐怖に立ち向かってください。

 

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