ロンドン在住の元フレンチ料理人 carly です。
イギリスに行ったら一度は体験してみたい!と思うであろうアフタヌーンティーですが、
- マナーは厳しいの?
- 場違いじゃないかな…
- 服装はどんな感じがいい?
- 予約は必須?
- テーブルマナーなんて分からない…
などなど不安がたくさんありませんか?
当然ながらわたしは西洋のガチな高級ホテルなんてものには縁がない人間。
文化や習慣の違いもあるので、うっかり失礼なことをしてしまうのではないかと気が気ではありませんでした。
ということで、先日ロンドンの高級ホテルのアフタヌーンティーに行ってきた平民である筆者が、
- アフタヌーンティーの基本的な流れ
- アフタヌーンティーの基本的なマナー
- 高級ホテルに行くときに気をつけたいこと
- サービスを受けるときに知っておくといいこと
- アフタヌーンティーの楽しみ方
について徹底レクチャーします!
基本的には肩肘張らずに「楽しむ」のがアフタヌーンティーの作法ですが、日本と同じ感覚で訪れるともしかしたら痛い目をみるかも…?
こちらの記事をサクッと読んで、一生に一度のアフタヌーンティーを120%楽しみましょう。
アフタヌーンティーの基本的な流れ

まずはじめに押さえておくべきなのは、アフタヌーンティーの流れです。
ホテルによって異なりますが、
- 予約方法
- 時間制限
- サービスの流れ
- サービスのルール
が違うので、念のために基本的な流れを知っておくことで焦らずに済みます。
➀高級ホテルのアフタヌーンティーは予約必須
ロンドンの中心地でアフタヌーンティーを体験できるところは
- カフェ
- パティスリー
- ホテル
などがありますが、いわゆる高級ホテルでアフタヌーンティーを体験したい場合は前もって予約をしておくことが必須です。
当日思いつきで行くとスタッフの対応が心配ですし、予約が埋まっていてガッカリなんてのは避けたいところ。
予定が決まったら即座に予約を入れましょう。
今は小さなカフェでもネットで予約できるところも多いので、そういったところから確実に押さえていくといいですね。
ちなみに、ロンドンで一度は行ってみたいアフタヌーンティーといえば
といったいわゆる「超高級ホテル」です。
一泊5万円以上はくだらないホテルなので、本来ならば庶民が足を踏み入れるところではありません。
ですが、アフタヌーンティーであれば、ほんの数時間だけセレブになったような優雅な気分が味わえてしまいます。
その分、緊張したり落ち着かなくてソワソワしたりするかもしれませんが、一生に一度と思ってその時間をたっぷりと楽しみたいですね。
上記で紹介した高級ホテルのアフタヌーンティーは各リンクから予約できます。
②アフタヌーンティーの当日の流れ
予約が完了したら確認メールが届きますが、後は当日を待つのみです。
時間ピッタリに行くか、数分遅れるくらいなら問題はありません。
高級ホテルなのでもれなくドアマンがいますが、笑顔で挨拶をしながらドアを通るとこなれているっぽくてよいですね。
ホテルの中はかなり広いので、従業員に場所を訪ねるのがスムーズ。
アフタヌーンティーの会場について予約の名前を伝えれば、席に案内してくれます。
メニューをもらうのと同時にシャンパンを飲むかどうかを聞かれるので、お酒が飲める人であればぜひどうぞ!
シャンパン付きのアフタヌーンティーが伝統的なスタイルのようですね。
ホテルによってはアフタヌーンティーでも
- トラディショナル
- ハイティー
- ベジタリアン
など、いくつかのメニューがあることも。
紅茶の種類もめちゃくちゃたくさんあるので、分からなかったらスタッフさんに助けを求めましょう。
クセがないものが好きな人はダージリンやセイロン。
ミルクティーが好きな人にはアッサムがおすすめですかね~。
ホテルによっては
- コーヒー
- ハーブティー
- 烏龍茶
- 緑茶
- ホットチョコレート
などが選べるところもあります。
基本的には一人一種類の紅茶を選び、途中で違うお茶に変えさせてくれるところも。
紅茶が出てきたら、いよいよサンドイッチやスコーンの登場です。
食べ方のマナーやおいしく食べるコツは後ほど詳しく紹介しますが、基本的にアフタヌーンティーは「誰かと一緒の時間を楽しむ」ためのもの。
肩肘を張りすぎずリラックスして、その場の雰囲気を存分に味わいましょう。
③アフタヌーンティーを楽しんだ後は…
これまたホテルによりますが、時間制限を設けているところもあるので注意が必要です。
そのようなところは
- 事前に告知される
- お会計を持ってくる
- 持ち帰りにする?と聞いてくる
というパターンが多いので、なんとなく察しましょう。
お会計はテーブルで、クレジットカードでの決済が主流です。
現金でもいけると思いますが、£100や£200といった大金を出すと店員さんがびっくりしそう笑
このような感じで、高級ホテルのアフタヌーンティーといえども普通のレストランに行くのと同じような流れで時間は過ぎていきます。
ただ、さすが高級ホテルなので従業員さんの対応はすばらしいですし、みんな優しくてとてもフレンドリー。
向こうは観光客にも慣れているのかきちんとリードしてくれるので、ガチガチに緊張しなくても大丈夫ですよ。
アフタヌーンティーの基本的なマナー

それではいよいよ、アフタヌーンティーの
- おいしい食べ方
- 基本的な作法
について解説していきましょう。
先に言うのもアレですが、作法やマナーは必ず守らないといけないわけではありません。
あくまでもスムーズに美しく食べるための見本のようなものに過ぎないので、あまり固執しすぎるのもどうかなぁと。
一応ここではガイドブックやネットに書いてある基本マナーを押さえながら、元西洋料理のプロである筆者の意見を交えて解説していきます。
➀アフタヌーンティーのメニューについて
先ほど少し触れましたが、アフタヌーンティーとひと言にいっても様々な種類があるんです。
- トラディショナル
- ハイティー
のふたつがメインでしょうか。
トラディショナルはその名の通り「伝統的な」アフタヌーンティーを楽しむメニューで
- サンドイッチ
- スコーン
- ペイストリー
がついてきます。
「ハイティー」は元々、観劇の前に楽しむアフタヌーンティーという役割もあるので、トラディショナルよりも食事が多めになります。
とはいっても、がっつりパスタやライスが来るということはありません。
わたしが体験したハイティーはケーキ類が少なくなる代わりに、ポーチドエッグとアスパラガスのオランデーズソースがけがやってきました。
お酒がほしくなりますねぇ…
また、イギリスであれば大体はベジタリアン対応のアフタヌーンティーも用意しているので、希望があればあらかじめリクエストしておくとスムーズです。
アレルギーや特別なリクエストなどは、注文の際に確認してくれます。
②アフタヌーンティーはシェアできる?
一番気になるのは、2人で行って別々のアフタヌーンティーを頼めるか?ということですよね。
基本的にアフタヌーンティーは2人以上で注文することが前提。
シャンパンをつけるかつけないかだったら問題ありませんが、トラディショナルとハイティーだとずいぶん内容が変わりますからね。
結果、わたしが訪れた「ザ・サヴォイ」では
- トラディショナル
- ハイティー
を別々に頼んでもOK!
しかも、スタッフさん自ら「シェアしますか?」と聞いてくれたので、とても安心しました。
ちゃんとお皿を取り替えてくれるし、カトラリーも人数分そろえてくれるという寛大なサービスに涙腺が刺激されます(?)
とはいえ、さすがに2人で行って「アフタヌーンティーを一人前だけ注文したい」というのはマナー違反なので、お腹の準備を整えて挑みましょうね。
③アフタヌーンティーを食べる順番
ガイドブックやネットなどに書かれているのは
- サンドイッチ
- スコーン
- ケーキ
という順番で食べろということです。
日本人的にはシャンパンを飲みながらサンドイッチを食べるというのはとてもありがたいですね。
しかし、実際に体験してみて思うのは、そこまで食べる順番にこだわる必要はないということ。
実際に周りのテーブルを見れば、みんなあっちこっち自由に食べていますから。
好きな食べ方をしてスタッフさんが顔をしかめることもありませんし、誰も気にしていません。
個人的にはスコーンは温かい内に食べたいし、かといってサンドイッチを放置するとすぐ乾燥してしまうし… という葛藤 w
はじめからスコーンがセットされている場合と、後から持ってきてくれる場合があるようですしね。
そもそも、はじめからサンドイッチを完食するとケーキやスコーンが食べられなくなります。
とはいえ、王道の順番を知っておくことは損ではありません。
知った上で自分なりの振る舞いをすれば問題ないでしょう。
④スコーンの食べ方!クリームとジャムどっち派?
アフタヌーンティーの醍醐味といえば、スコーンですよね!
スコーンってあれだけシンプルが故に、パティスリーやホテルによって全く味が違います。
基本的な食べ方を紹介すると…
- お皿に取ったスコーンをナイフを使って横半分に割る
- クロテッドクリームとジャムを乗せて食べる
という、文字にすると非常にシンプルな作法です。
スコーンは横半分以上にカットしないのが基本ルールとのこと。
ジャムとクロテッドクリームを乗せたらガブっと行っちゃいましょう。
ただ、ジャムとクロテッドクリームを乗せる順番があります。
- ジャム →クリーム〈コーンウォール〉
- クリーム →ジャム〈デヴォン〉
という二大スタイルがあり、2つの州でどっちが正しいとか火花を散らしている模様。
というのも、イギリス南西部に位置するデヴォン州とコーンウォール州ではどちらも酪農が盛んで、クロテッドクリームの有名な産地だからです。
ちなみに、エリザベス女王は「コーニッシュスタイル」で召し上がるそう。
これはご子息であるチャールズ皇太子がコーンウォール公爵だから、とのこと。
元料理人的な目線でいえば、温かいスコーンに乗せるならジャムを先にするのがおすすめです。
というのも、温かいものにクロテッドクリームを乗せると溶けてしまうから。
バターもそうですが、
- 冷たい固形状
- 溶けた液状
では風味がガラッと変わりますし、本当のおいしさを楽しむのであればクロテッドクリームは冷たいままの方が理想でしょう。
まあ、どちらを先に乗せるにしても味わいは全く違うので、自分の好みのスタイルでおいしくいただいてくださいね。
⑤紅茶はスタッフさんが注いでくれる
おいしいスコーンやケーキを食べながら紅茶を飲んでいると、逐一スタッフさんが紅茶を注ぎにやってきてくれます。
日本人的には落ち着かない気もしますが、これが高級ホテルでのサービスのようです。
実際に紅茶のポットはものすごく大きくて重いですし、銀なので取っ手がめちゃくちゃ熱い。
状況によっては自分で注ぐシーンもあるかとは思いますが、基本的には気持ちよくスタッフさんに注いでもらいましょう。
もちろん、ミルクが入っていようとじゃんじゃん注ぐので、お好みのミルク加減は自分で調節しなくてはいけません。
ポットに茶葉が入ったままなので時間が経つごとに濃くなりますが、ここはスタッフさんのさじ加減で
- 差し湯
- 取り替え
をしてくれます。
普段はティーバッグの濃いめの紅茶を飲んでいるので、茶葉から入れた繊細な味わいの紅茶を飲めて幸せでした…
高級ホテルへ行くときの注意点!ドレスコード

日本人が一番疎くて一番ビビるのが「ドレスコード」ではないでしょうか。
日本では高級ホテルとはいってもそこまでドレスアップすることもないですし、カジュアルな服装だからといって跳ね除けられることもありませんよね。
しかし、西洋はファッションで表現するマナーに厳しいです。
その場にそぐわない服装は「格」を乱すものだと捉えられ、サービス態度があからさまに変わることも少なくありません。
ロンドンの高級ホテルでアフタヌーンティーを楽しむ際はスマートカジュアルが基本で
- ジーンズ
- Tシャツ
- サンダル
- スニーカー
はほぼNGです。
とはいっても、大物セレブは一本数十万のジーンズを履くでしょうしね…
わたしが行ったときには実際にステキなおじさまがジーンズをお召になっていました。
男性であればシャツにジャケット、女性であればワンピースを着れば間違いないだろうな、と勝手に思っています。
とはいっても、わたしはワンピースなぞ着ませんが。
- 黒のパンツスタイルのセットアップ
- グレーのジャケット
- オックスフォードシューズ
という疑心暗鬼な出で立ちで高級ホテルに臨みました。
正直、ドレスコードや服装って本当に難しいですよね。
周りがガチで決めている人ばかりのときもあれば、普段着ですか?って人ばかりのときもある。
一番なのはその場で「浮かない」ことなのですが、そればかりは行ってみないと分からないですもんね。
まあ、ロンドンでは服も靴もバッグもなんでもそろうので、全てを日本から持って来ようとする必要はないかと。
ヨーロッパの高級ホテルのサービスで驚いたこと

自分で言うのもアレですが、わたしは元飲食の人間だったということもあり、同じ世代の人に比べればこのような場には慣れている方だと思います。
でもなんというか、やっぱり日本と西洋のサービスは違うなと感じます。
海外のサービスって
- 愛想がない
- やる気がない
- 雑
- クオリティが低い
というイメージを持つ人も多いかと思いますが、それは日常の話にしか過ぎないのだと。
わたしもロンドンに暮らしていてこの店員さん大丈夫?と思うことはありますが、もちろん高級ホテルではそんなことはありません。
- それなりの値段を取っているからでしょ
- サービス料が入っているからでしょ
と言うのは本当で、これが「普通」であり、日本が「異常」なんですよね。
サービス業界のほか様々な場面で、日本では見合った金額が支払われていないと感じます。
それはやはり、消費者の意識も問題のひとつです。
なんでも安いに越したことはないと思うのが人間ですし、これだけ物が溢れていれば価格競争せざるをえません。
という決着のつかない話は置いておいて!
ロンドンの高級ホテルで初めてサービスを受けて感じたことは
- 教科書でやった英語が登場した
- スタッフさんがフレンドリー
- 居心地の良さがハンパない
ということです。
念の為、それぞれについてもう少し掘り下げて書いていきますね。
➀教科書で習った英語が登場!
ロンドンに暮らして半年になりますが、教科書で習った英語のひとつ「Good Afternoon.」に初めて出会いました。
普段生活している分には「Hi.」で事足りるのですが、グッドアフタヌーンをまさか高級ホテルで使うとは思ってもいなかったです。
- 日本の学校で習う英語は日常では使わない
- だから役に立たない
と頻繁にディスられていますが、まさにその通り。
だって、グッドアフタヌーンは日常では使わないけれど高級ホテルでは使うんですから。
言い過ぎかもしれないけれど、日本で習う英語はかなりポッシュな英語なのかもしれませんね。
②スタッフさんが優しくてフレンドリー
これは基本的にロンドンのどこでも言えるのですが、お客さんと店員さんは対等です。
ロンドンでは、お客さまは神様ではありません。
個人的にはそこがとても気持ちよく暮らせるポイントになっています。
良くも悪くも「人間臭い」んですよね。
日本人だったら顔をしかめたくなるかもしれませんが
- 店員さんがレジでご飯を食べている
- 警察官が道端でコーヒー飲んでる
- 彼氏のグチを言い合っている
- 仕事中にスマホで家族や恋人と通話する
- お客さんの目の前を横切る
- なんなら「どいて」と言う
ということが日常茶飯事です。
でも、どれもこれも人間だったら当たり前のことじゃないかと思うんです。
肉体的にも精神的にも健康でいるためには、ご飯を食べたりコーヒーを飲んだり、イライラやモヤモヤを吐き出したりする時間が必要じゃないですか。
高級ホテルだからと言われればそれまでですし、当然ながらお客も店員さんに対してポライトでありフレンドリーである必要があります。
でも、総じてスタッフさんがみんなすごく優しいんですよね。
それがとても心地よくて、思い出に残る時間となりました。
- 今日はこれまでどうだった?
- 僕は〇〇に住んでいて… 云々
- シャンパンキメて今日は特別な日?
- これめっちゃ美味しいからね~
という何気ない会話。
日本では店員さんと砕けた会話なんてしませんし、店員としても足を突っ込まないように影になりきるのが仕事です。
人によって感じ方は様々ですが、わたしは日本のようなよそよそしい接客は好きになれません。
人と人との関わり合いのはずなのに、そこに「人」はいないんですよね。
だったら機械でいいのでは?と思いますし、その方が気を使ったり傷ついたりする必要もなくなります。
③高級で豪華なのに居心地がいい
ホテルにもよりますが、基本的にはゴージャスな場所で時間を過ごします。
- 驚くほど高い天井
- 理解しにくいアート作品
- なんでもキラキラピカピカ
- すごい模様の絨毯
などなど、日本人からしたらもはや異空間としか思えません。
にも関わらず、なんと居心地の良いことか。
それはもちろん、おいしい食事とお茶、一流のサービスによるものなのでしょう。
テーブルが大きく隣との間隔が広いのも、日本とは違って過ごしやすいポイント。
余談ですが、高級ホテルのトイレは要チェックです。
ペーパータオルではなく全てリネンですし、トイレも負けじとすごいことになっています。
とにかく清潔でニオイもなく、トイレで暮らせるんじゃ?というくらいなので、ぜひ!
高級ホテルでのアフタヌーンティーを一生に一度は

イギリスを代表する伝統的な文化である「アフタヌーンティー」。
実際に行ってみて、一生に一度は体験したいという意味がよく分かりましたね。
一方ではやはり、アフタヌーンティーとは階級が高い人が楽しむものである、ということをひしひしと感じました。
空間はもちろん、食べるものや飲むもの、サービスなどをすべて含めて。
だからこそ、本当にイギリスを訪れる際は本場のアフタヌーンティーを体験することをおすすめします。
日本でもアフタヌーンティーを楽しめる場所はたくさんありますが、ヨーロッパで体験するそれとはまた違うでしょう。
ひとつの文化を知って体験することにもなりますし、ヨーロッパならではの体験であることに間違いはありません。
スタッフさんへの笑顔と感謝の言葉を忘れなければ、ちんちくりんのわたしにでも親切に丁寧に接してくれるほどの寛大さがあります。
ロンドンを訪れる際は一生に一度のアフタヌーンティーを存分に楽しんでくださいね。
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